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東京地方裁判所 昭和51年(ワ)8523号 判決 1980年2月18日

原告 前川久雄

右訴訟代理人弁護士 矢代操

被告 小林信義

<ほか四名>

右五名訴訟代理人弁護士 山村清

主文

一  原告の主位的及び予備的請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

(主位的請求の趣旨)

1(一)(1) 原告と被告小林信義(以下「被告信義」という。)、同小林猛(以下「被告猛」という。)との間において、原告が、別紙物件目録第一記載一の土地(以下「一二番一の土地」という。)のうち別紙図面のa、b、l、f、aの各点を順次直線で結んだ梯形部分につき、通行地役権を有することを確認する。

(2) 同被告らは、原告に対し、一二番一の土地につき、別紙登記申請目録第一記載のとおりの地役権設定登記手続をせよ。

(二) 右1(一)(1)の請求と選択的に、原告と同被告らとの間において、原告が、一二番一の土地の右梯形部分につき、囲繞地通行権を有することを確認する。

2(一)(1) 原告と被告信義、同小林義雄(以下「被告義雄」という。)、同小林政子(以下「被告政子」という。)との間において、原告が、別紙物件目録第一記載二の土地(以下「一一番一四の土地」という。)のうち別紙図面のm、l、r、q、mの各点を順次直線で結んだ矩形部分につき、通行地役権を有することを確認する。

(2) 同被告らは、原告に対し、一一番一四の土地につき、別紙登記申請目録第二記載のとおりの地役権設定登記手続をせよ。

(二) 右2(一)(1)の請求と選択的に、原告と同被告らとの間において、原告が、一一番一四の土地の右矩形部分につき、囲繞地通行権を有することを確認する。

3 原告に対し、被告猛は、別紙物件目録第二記載一の建物(以下「本件居宅」という。)のうち、別紙図面のg、h、i、gの各点を直線で結んだ範囲の建物部分及び同図面e、fの直線上にある板塀(以下「本件(一)の板塀」という。)を収去し、被告信義は、右建物部分から退去し、それぞれ別紙図面のa、e、f、aの各点を直線で結んだ三角形の土地を明渡せ。

4 原告に対し、被告有限会社二光商事(以下「被告会社」という。)は、別紙物件目録第二記載二の物置(以下「本件物置」という。)のうち、別紙図面のn、o、p、nの各点を直線で結んだ範囲の部分を収去し、被告猛及び同信義は、右部分から退去し、それぞれ別紙図面のk、l、m、kの各点を順次直線で結んだ三角形の土地を明渡せ。

5 被告会社、同信義、同義雄及び同政子は、原告に対し、別紙物件目録第二記載三の建物(以下「本件材料置場」という。)のうち、別紙図面のx、y、z、xの各点を順次直線で結んだ範囲の物件を収去して別紙図面のm、l、r、q、mの各点を直線で結んだ矩形部分の土地を明渡せ。

6 被告会社、被告信義及び同猛は、原告に対し、各自金八八万八七〇〇円及びこれに対する昭和五一年一〇月一九日から支払済まで年五分の割合による金員を支払え。

7 訴訟費用は被告らの負担とする。

8 第三項ないし第六項につき仮執行宣言。

(予備的請求の趣旨)

1(一)(1) 原告と被告信義、同猛との間において、原告が一二番一の土地のうち別紙図面のe、s、t、f、eの各点を順次直線で結んだ平行四辺形の部分につき、通行地役権を有することを確認する。

(2) 同被告らは、原告に対し、右一二番一の土地につき、別紙登記申請目録第三記載のとおりの地役権設定登記手続をせよ。

(二) 右1(一)(1)の請求と選択的に、原告と同被告らとの間において、原告が、一二番一の土地の右平行四辺形の部分につき、囲続地通行権を有することを確認する。

2(一)(1) 原告と被告信義、同義雄、同政子との間において、原告が一一番一四の土地のうち別紙図面のf、t、u、v、fの各点を順次直線で結んだ平行四辺形の部分につき、通行地役権を有することを確認する。

(2) 同被告らは、原告に対し、右一一番一四の土地につき、別紙登記申請目録第四記載のとおりの地役権設定登記手続をせよ。

(二) 右2(一)(1)の請求と選択的に、原告と同被告らとの間において、原告が、一一番一四の土地の右平行四辺形の部分につき、囲繞地通行権を有することを確認する。

3 被告会社、同信義及び同猛は、原告に対し、本件物置のうち、別紙図面のs、tの両点を結ぶ直線より北側の部分を収去し、同図面のj、s、t、m、jの各点を順次直線で結んだ梯形の土地を明渡せ。

4 被告信義、同義雄及び同政子は、原告に対し、別紙図面のt、uの両点を結んだ直線より北側にある板塀(以下「本件(二)の板塀」という。)を収去し、同図面のm、t、u、q、mの各点を順次直線で結んだ梯形の土地を明渡せ。

5 訴訟費用は、被告信義、同猛、同義雄及び同政子の負担とする。

6 第三項ないし第五項につき仮執行宣言。

二  請求の趣旨に対する答弁

主位的及び予備的請求の趣旨に対しいずれも主文同旨。

第二当事者の主張

一  請求の原因

(主位的請求について)

1(一) 原告は、別紙物件目録第一記載の三の土地(以下「一二番二の土地」という。)を、被告猛は、本件一二番一の土地をそれぞれ所有し、被告信義、同義雄及び同政子は、本件一一番一四の土地をそれぞれ持分三分の一の割合で所有している。

(二) 被告猛は本件居宅及び本件(一)の板塀を、被告会社は本件物置をそれぞれ所有し、被告信義、同義雄及び同政子は本件材料置場及び本件(二)の板塀をそれぞれ持分三分の一の割合で所有している。

2 通行地役権

(一) 地役権設定契約

(1) 昭和四年五月ころ、一二番二及び一一番一四の土地及びその東側に隣接する一団の土地は金子平吉の所有であり、一二番一の土地は金子辰五郎の所有であって、また更にこれらの東側奥に隣接する土地は石井良次郎の所有であった。

(2) 金子平吉、金子辰五郎、石井良次郎は、昭和四年五月ころ、それぞれ自己所有地の一部を割愛して、公路に通ずる私道を開設する合意をし、そのころ、その目的にて建築線の指定(現行の道路位置指定)を受け、事実上本件係争部分を含む通路を開設した。

右指定建築線による通路は、別紙図面のf、d、l、cの各両点を結んだ線をそれぞれ西に延長した直線によって画される幅員三・六四メートル(一二尺)の通路(以下、本件通路部分(一)という。)と、その東側奥地方向部分においてこれと直角に交叉する幅員九尺の通路とから成っている。

(3) ところで、右指定建築線による通路を一二番一の土地の内に延長した部分については、右建築線の指定を受けた時点においては、指定建築線の予定線とされたにとどまるが、事実上、建築線の指定を受けた部分と同時に通路として開設され、その後の昭和一七年三月ころ、当時、同土地を所有していた金子辰蔵、その東側隣接地である一二番二及び一一番一四の土地を所有していた森崎義一(同人が盲目のため実父森崎勇一郎が代理)、同土地の借地権者前川久次郎(原告の父)並びに一二番一の土地の借地権者太田半七は、金子辰蔵が一二番一の土地(右太田の借地)の一部を割愛して、私道として開設する合意をし、そのころ、右太田の申請に基づき、公路に通ずる目的にて建築線の指定を受けた。

右指定建築線による通路は、既指定建築線を西の方向に延長した別紙図面のa、f、b、lの各両点を結んだ各直線によって画される部分であり、その延長中心線の長さが七・六メートル、幅員三・六四メートルのものである。

(4) 右(2)、(3)による通路の開設は、右各土地所有者がその所有地の一部を供出してなしたものであるから、これにより、各供出土地を承役地とし、その他の土地を要役地として、各供出土地部分の価額が実質上の償金に相当するような通行地役権が設定されたものであり、従って、一二番一、一一番一四の各土地には、一二番二の土地を要役地とし、別紙図面のa、b、l、f、aの各点を順次直線で結んだ梯形の部分の土地につき通行地役権が設定されたものである。

(5) 一二番二の土地(要役地)は、昭和八年八月八日森崎義一が売買により、昭和三一年五月二三日森崎和枝、同かねが相続により(持分各二分の一)、昭和四五年八月三日原告が売買により、順次その所有権を取得した。

(二) 地役権の時効取得

仮に右(一)の通行地役権設定の事実が存しないとしても、一二番二の土地の元所有者金子平吉及びその後順次同土地を承継取得した森崎義一、森崎和枝並びに同かね、原告は昭和四年五月ころ以降継続して、自己の為にする意思を以て、本件通路部分(一)を自ら通行し、或いは借地人前川久次郎らを通行させて通行地役権を行使して来たものであり、かつ右(一)のとおりその行使の始めいずれも善意にしてかつ過失がないから、その通行開始の時から一〇年を経過した昭和一四年五月ころ、仮に善意無過失が認められないとしても二〇年を経過した昭和二四年五月ころ、森崎義一が右通路部分について通行地役権を時効取得し、また、他の承継人においても、自己或いは前主と通算した時効期間の満了により、又は前主の権利承継により、同じく通行地役権を取得したものであって、原告は、昭和四五年八月三日、一二番二の土地を取得することにより前主の通行地役権を承継した。

(三) 慣行に基づく通行権

仮に右時効による通行地役権の取得が認められないとしても、(一)、(二)のとおり、関係土地の各所有者が、本件通路部分(一)に該当する所有地の一部を供出し、爾後、右土地の所有者、承継人らが通行の利益を受けており、右土地所有者が本件通路に該当する建築線の指定を受けるについて合意したことに鑑みると、同人らの間では相互に右供出土地を通路以外の目的に使用しない旨の暗黙の合意が存したものとみなすことができ、このような場合、右土地供出者にとって右通路部分につき慣行に基づく通行権(慣行物権)が成立したもので、原告は、前記金子平吉及びその承継人が有していた右権利を承継取得したものである。

3 囲繞地通行権

(一) 本件一二番二及び一一番一四の各土地(元金子平吉所有)は、もと東京都北区志茂町二丁目一四二七番宅地が分筆されたものであり、分筆以前は同土地は地形上袋地であり、従って、右土地の所有者金子平吉は、公道(本件通路西側に存する。以下「北本通り」という。)に出入りするため、一二番一の土地を通行していた。そして、右一四二七番の土地は、一四二七番一、二に分筆され、その後、一四二七番一の土地は町名及び地番の変更により一二番二と表示され、また、一四二七番二の土地は、更に分筆されて後その一部が町名及び地番の変更により一一番一四と表示されるに至ったものであるところ、金子平吉及び森崎義一は、一一番二四の土地のうち一二番二の土地に接縁する本件通路部分(一)を通行していた。

原告の先代前川久次郎は、昭和九年九月ころ、森崎義一から一二番二の土地の借地権を取得し、右久次郎及びその包括承継人である原告は、爾来右土地を通行して来たものである。

(二) 右囲繞地通行権の形状範囲は、前記の指定建築線の合意及び通行地役権設定の合意が存したことに鑑み、通行者である原告のために必要にしてかつ囲繞地のため最も損害の少ない本件通路部分(一)のそれと同一である。

4(一) 被告猛は、昭和四六年三月ころ、別紙図面のe、dの直線を境に南側に越境して同図面のe、fの両点を結ぶ直線上に本件(一)の板塀を築造し、また昭和四七年六月ころ本件居宅を増築した際も同図面のg、h、i、gの各点を順次直線で結んだ三角形の部分二・〇四平方メートルに越境して建築し、これにより同図面のa、e、f、aの各点を順次直線で結んだ三角形部分五・二二平方メートルを不法に占有し、もって原告の前記通行地役権ないし囲繞地通行権を侵害している。

(二) 被告会社は、昭和四五年八月ころ、別紙図面の直線b、cを境に北側に越境して同図面のn、p、o、nの各点を順次直線で結んだ三角形の部分にL字型鉄枠で鉄パイプを支える小屋を造り(そのため、該通路地下にある水道管は右小屋の下になった。)、昭和四六年三月ころ、これを本件物置に改造し北側壁面をトタン張りとし、現在、鉄パイプ等の材料置場に使用し、これにより同図面のk、l、m、kの各点を順次直線で結んだ三角形の部分一・八四平方メートルを不法に占有し、もって原告の前記通行地役権ないし囲繞地通行権を侵害している。

(三) 芹田重義は、昭和二八年ころ、本件材料置場を新築した際、別紙図面の直線l、cを境に北側に越境して同図面のx、y、z、xの各点を順次直線で結んだ三角形部分〇・三六平方メートルに建築し、かつ同図面の直線t、uの北側に本件(二)の板塀を築造し、これにより同図面のm、l、r、q、mの各点を順次直線で結んだ台形部分を不法に占有し、もって原告の前記通行地役権ないし囲繞地通行権を侵害している。

(四) 被告信義、同猛は、昭和四五年一月ころから昭和四九年四月二六日ころまで、別紙図面の直線j、mより北側にあった本件通路部分(一)内のマンホールの外側に、縦三〇センチメートル、横四〇センチメートル、高さ三〇センチメートルの御影石五個を三重と二重にして一列に積んだまま放置して通行を妨害し、もって原告の前記通行地役権ないし囲繞地通行権を妨害した。

5 原告の損害

被告らは、故意又は過失により、右4のとおり本件通路部分(一)を不法に占有し、原告の通行地役権ないし囲繞地通行権を侵害したため、原告は、以下のとおり、少なくとも合計金八八万八七〇〇円に相当する損害を被った。

(一) 自動車修理代 金八万八七〇〇円

原告は、本件一二番二の土地においてタクシー業を営んでいるが、その営業車が、(ア) 昭和四五年秋ころ被告会社により別紙図面のk、l、m、kの各点を順次直線で結んだ三角形部分に積重ねられた鉄パイプを、(イ) 昭和四六年五月ころ被告猛により新設された本件(一)の板塀を、(ウ) 昭和四八年二、三月ころ被告信義、同猛により本件通路に放置された前記御影石を、(エ) 同年一〇月一七日右鉄パイプをそれぞれ避けられずにこれらの物と接触して損傷を受けたが、右(ウ)及び(エ)による損傷の修理代は合計金八万八七〇〇円であった。

(二) 慰謝料 金五〇万円

原告は、被告らの侵害行為によりタクシー業の営業に支障を来たし、かつ昭和四二年ころから今日までの間、通路の不法占有が拡張されていく状況を日夜まのあたりにして苦悩した結果ノイローゼに陥り、一時は気の弱さも手伝って自殺を考える程に気を滅入らせ、また、右不法行為を排除するための相談のため、北区役所、地元警察派出所、測量事務所などにお百度詣りを余儀なくされるなど物心両面にわたり損害を受けるに至ったが、これらに対する慰謝料としては少なくとも金五〇万円が相当である。

(三) 弁護士費用 金二〇万円

原告は、被告らの本件侵害行為により弁護士に委任して本件損害賠償請求訴訟の提起追行をすることを余儀なくされたが、右事件の請求原因及び訴訟手続の煩瑣なこと等を勘案すると、右に要した弁護士費用のうち、少なくとも金二〇万円が右請求と相当因果関係のある損害である。

(四) 土地調査測量費用等 金一〇万円

原告は、右損害賠償請求の提訴のため、土地調査測量費用合計金二一万六五〇〇円の支出を要したものであるが、この種の事案においては土地調査測量及び図面作成を絶対に欠くことができないものであるから、右のうち、民事訴訟費用等に関する法令による図面代(一枚につき金一〇〇円)を除き、少なくとも金一〇万円は右請求と相当因果関係のある損害である。

6 よって、原告は、被告らに対し、通行地役権若しくは囲繞地通行権に基づき、主位的請求の趣旨記載のとおりの判決を求める。

(予備的請求について)

1 主位的請求原因1(一)、(二)、2(一)ないし(三)と同じであるからこれを引用する。

2 小林甚吾は、昭和二七年一〇月二〇日、本件居宅を新築した際、別紙図面のa、fの両点を結ぶ直線の南側に本件居宅の一部を越境し、本件通路部分(一)のうち同図面のa、e、f、aの各点を結ぶ三角形の部分を不法占拠したため、森崎義一に対し、本件通路部分(一)の通行を妨害する結果となった。

3 そこで、小林甚吾は、そのころ、森崎義一に対し、通路の形状を、本件通路部分(一)の幅員(三・六四メートル)を維持したままで、または、少なくとも幅員三・二九メートルを保って、一一番一四の土地の西端から南西に「く」の字型に曲げ、別紙図面のe、s、t、f、eの各点を順次直線で結んだ部分及び同図面のf、t、u、v、fの各点を順次直線で結んだ部分の各土地(以下「本件通路部分(二)」といい、本件通路部分(一)、(二)を併せて「本件係争部分」ともいう。)に変更する旨を表示し、森崎義一はこれにつき黙示の承諾をした。

4 仮に、本件通路部分(二)の南側辺部(別紙図面の直線asと直線biと直線stで囲まれた三角形部分)の通行地役権が認められないとしても、

(一) 森崎義一は、昭和二七年一〇月二〇日以降、右南側辺部分について、自己の為にする意思をもって、平隠、公然、善意、無過失に通行地役権を行使し、かつ右森崎義一の包括承継人である森崎和枝、同しげは、右と同様の手段、方法において右通行地役権を行使したものであるから、右和枝、しげは、義一の権利行使期間を通算して一〇年を経過した昭和三七年一〇月二〇日にその通行地役権を時効により取得した。

(二) 仮に右(一)による時効取得が認められないとしても、森崎和枝、同しげは昭和三一年五月二三日以降、右部分について、自己の為にする意思をもって平穏、公然、善意、無過失に通行地役権を行使して来たものであるから、右の日から一〇年間を経過した昭和四一年五月二三日に同部分の通行地役権を時効により取得した。

(三) 原告は、昭和四五年八月三日、和枝らの右(一)、(二)の通行地役権を特定承継した。

5 仮に、右通行地役権が認められないとしても、原告は、右と同じ形状範囲の囲繞地通行権を有するものであり、その原因は、主位的請求原因3(一)、(二)と同じであるから、これを引用する。

6 よって、原告は、被告らに対し、通行地役権若しくは囲繞地通行権に基づき、予備的請求の趣旨記載のとおりの判決を求める。

二  請求原因に対する認否

(主位的請求について)

1(一) 請原原因1(一)の事実のうち、原告が一二番二の土地を所有していることは不知、その余の事実は認める。

(二) 同1(二)の事実は認める。

2(一) 同2(一)の各事実は不知、但し、本件通路部分(一)の一部が人、車の通行の用に供されていることは認める。

(二) 同(二)の事実は否認する。金子平吉、森崎義一らが昭和四年五月ころ以降、本件通路部分(一)を通路として利用していたとしても、それは、右土地の所有者が近隣者に対する社交上ないし情誼上、通行することを黙認した結果か、道路位置指定による反射的利益にすぎず、しかも、金子平吉、森崎義一らによって本件通路部分(一)が開設されたものではなく、また、同人らが排他的に同部分を支配していたものではなかった。

(三) 同(三)の事実は争う。

3(一) 同3(一)の事実は不知。

(二) 同(二)の主張は争う。

4(一) 同4(一)の事実は否認する。もっとも、被告猛が昭和三二年六月ころ作業場の増築工事をしたことはある。なお、本件(一)の板塀は終戦直後に築造されたものであり、右板塀の設置及び本件居宅の増築によって、従前の占有部分を拡げて新たに本件通路部分(一)を越境したことはない。同(一)の主張は争う。

(二) 同(二)の事実のうち、被告会社が昭和四六年三月ころ本件物置を築造し、これを現在、鉄パイプ等の材料置場に使用していることは認め、その余は否認する。被告会社は、昭和三五年ころ、鉄パイプ類を収納する鉄製棚を設置し、その後、雨除けの屋根をふいてこれを本件物置としたが、これらにより従前の占有部分を拡げて新たに本件通路部分(一)を占有したことはない。

(三) 同(三)の事実は認める、但し、本件材料置場の新築の際、従前の占有部分を拡げて新たに本件通路部分(一)を占有したことはない。

(四) 同(四)の事実は否認する。但し、被告信義が、かつて別紙図面のe、fの両点を結ぶ直線の通路側にあったマンホール上に石を置いたことはあるが、これは、右コンクリート製の蓋が通行する自動車によって壊されたため、被告猛がその費用で鉄製の蓋を取り換えるまでの短期間、危険防止の目的で行ったものである。

5 同5(一)ないし(四)の各事実は不知。

(予備的請求について)

1 請求原因1の事実に対する認否は、主位的請求原因1、2の事実に対する認否と同じであるからこれを引用する。

2 同2の事実のうち、小林甚吾が昭和二七年一〇月二〇日に本件居宅を新築したことは認め、その余の事実は否認する。右新築の際、従前の占有部分を拡げて本件通路部分(一)に、越境したことはない。

3 同3の事実は否認する。

4 同4(一)、(二)の各事実は否認する。同(三)の事実は不知。

5 同5の事実に対する認否は主位的請求原因3(一)、(二)の事実に対する認否と同一であるから、これを引用する。

三  被告らの主張

1  仮に、原告主張のとおり、昭和四年五月ころ、通行地役権設定契約が締結され、あるいは時効により地役権を取得したとしても、原告は、右地役権につき登記手続を経ていないから、一二番一及び一一番一四の土地を所有する被告らに対し、右地役権を対抗できない。

2  原告主張の通行地役権はつぎのとおり消滅した。

(一) 本件係争部分の範囲は、その開設以来現在まで何ら変更されることもなくその利用に供されてきたのであって、右設定契約後間もなくのころ、現況どおりの通路をその対象とする旨改められたものであり、そうでないとしても、要役地所有者であった金子平吉、森崎義一らは、長年にわたり本件明渡請求部分につきその権利を行使しなかったのであるから、権利を放棄し、またはその権利は失効した。

(二) 金子平吉、森崎義一らは、少なくとも二〇年間以上にわたり本件明渡請求部分につき、その権利を行使しなかったから、右部分の通行地役権は時効により消滅した。

(三) 小林甚吾、被告信義、同猛、小林よねは、一二番の一の土地につき、昭和二三年五月ころ以降、芹田重義、芹田タキ、山上幸子、被告信義、同義雄、同政子らは、一四番の一の土地につき、昭和二八年ころ以降、所有の意思をもって平穏、公然、善意、無過失で一〇年間占有を継続したから、原告の通行地役権は消滅した。

四  被告らの主張事実に対する認否

1  被告らの主張1の事実のうち、原告が地役権の登記手続を経由していないことは認め、その余は争う。

2  同2の(一)ないし(三)の事実は否認する。

第三証拠関係《省略》

理由

一1  請求原因1(一)の事実のうち、被告猛が本件一二番一の土地を所有し、被告信義、同義雄及び同政子が本件一一番一四の土地をそれぞれ持分三分の一の割合で所有していることは当事者間に争いがなく、原告が一二番二の土地を所有していることは、《証拠省略》によりこれを認めることができる。

2  同1(二)の事実は当事者間に争いがない。

二  そこで、原告主張の通行地役権設定契約について判断する。

1  《証拠省略》を総合すれば、本件係争部分ないし付近土地の所有、利用状況についてつぎの事実を認めることができる。

(一)  昭和四年五月ころ当時、一二番一の土地は金子辰五郎の、一二番二及び一一番一四の土地並びにその東側に隣接する一団の土地は金子平吉の各所有であった。その後まもなく、金子平吉の右所有地は順次売却処分され、森崎義一が、昭和六年八月に一一番一四の土地を、昭和八年八月に一二番二の土地を買い受けた。

(二)  原告の父前川久次郎は、昭和九年九月末ころから、一二番二の土地を森崎義一から賃借し、同所において銭湯「トキワ湯」を営んできたが、昭和一七、八年ころ、原告が、右営業を受け継いだ。そのころ、本件通路部分(一)は、その幅員及び形状が明確ではないが、一二番二の土地の南側に接して、北本通りへ東西に通り抜ける通路として付近の住民等に利用されていた。

(三)  一二番一の土地は、昭和四年五月ころから昭和一七年三月ころまでの間の日不詳のころに金子辰蔵が相続により取得し、昭和二二年三月に金子タイが、昭和二三年五月七日に須永卯吉が、同月二〇日に小林甚吾及び被告信義が順次これを譲り受けたが、当時、その東側一帯の土地は、戦災による焼野原の状態で、三、四軒の民家が残された程度であった。そして、そのころ、本件係争部分の北本通り側出入口付近には北側に木製電柱(別紙図面イ点)があり、その東隣りに焼け焦げた直径約五センチメートルの電柱の切株があって、これらにより通路部分とその北側の宅地部分が画されていた。それで、被告信義は、昭和二五年三月、右各電柱を境にしてその北側の一二番一の土地上に本件居宅を建築し、これに入居した。他方、甚吾は、右買受後、一二番一の土地内に、本件物置敷地と通路部分の境界として、本件係争部分の北本通り側出入口南側に沿って鉄パイプを打ち込んで針金を張って柵を設けたが、昭和二六、七年ころ、右鉄パイプが無断で抜き取られるのでこれを木杭に変えて、これに横板を張った。

(四)  折から、訴外畠山文治郎は、昭和二七年七月、一一番一二の土地を平家建建売住宅付で買受けこれに入居したが、同建物の北側周囲には竹矢来の柵があり、その前面を東西に走る通路が、同じ道幅を保って北本通りに通じ、一二番一の土地部分で南西にゆるやかに曲った形状で、前記木製電柱及び木柵を西側出入口の開口部としていた。右畠山は、昭和三二年一〇月、右土地建物を訴外相馬賢二に売却したところ、その後、右相馬が、右建物を二階建に増築したが、階下には添え柱を設置しただけで他に造作を加えなかった。

(五)  一一番一四の土地は、昭和三一年五月二三日、森崎和枝、同かね、同勇一が相続により森崎義一から承継取得し、芹田重義が昭和三四年一一月二日にこれを買受けたものであるが、右芹田は、右一一番一四の土地を森崎義一から賃借中の昭和二八年ころ、本件材料置場を新築し、現在は本件(二)の板塀が存するあたりに竹垣の塀を玄関脇の左右に張りめぐらせ、その後昭和四一年一〇月ころまでの間に、右竹垣を補修したことがあったところ、昭和四九年一一月、被告信義、義雄、政子が右土地・建物を現状有姿のままで譲受け、現在、被告会社が鉄パイプの材料置場に使用している。

(六)  ところで、甚吾が設置した前記木柵は、その後移設されることがなく、昭和三五年ころ、右木柵の西端南側に東京電力のコンクリート電柱(別紙図面ロ点)が埋設された。被告会社は、昭和四〇年ころから、右木柵で囲まれた一二番一の土地内を鉄パイプの置場として、昭和四六年三月ころ、本件物置を築造した。しかるところ、原告ほか本件係争部分付近の住民は、芹田重義等が中心となって、昭和四三年八月ころ、別紙図面m、qの両点を結ぶ直線、同図面f、dの両点を結ぶ直線及びこれらの東側延長線上に、下水の排水用側溝を設置する工事を行なった際、被告信義は、一二番一の土地について、右側溝を設置することを承諾しなかったが、同地下に下水管を埋設することを受忍した。

(七)  原告は、昭和二〇年四月ころ、浴場を戦災で焼失したため、これを廃業し、昭和三九年一月ころ、一二番二の土地に車庫を建築してタクシー業を営むに至り、傍ら、原告の長男が右土地内で自動車修理工場を経営していたところ、本件係争部分を自動車の通行の用に供することが多くなり、右通路幅が狭いために、北本通りから本件係争部分へ出入りする際、時折、本件物置に横積みしてある鉄パイプに車体を接触させて損傷を受けることがあった。

(八)  現在、本件係争部分は、一一番一四の土地の西端で南西方向にゆるやかに曲った形状を呈し、本件居宅の南側に設置された本件(一)の板塀と一二番二の土地の南側際に設置された八段積みブロック塀が近存する別紙図面のe、f、vの各点を順次直線で結んだ線(同線上のf、v間にはL字溝が設けられている。)と、本件物置の北側に設置された板塀と本件材料置場の北側に設置された板塀が近存する別紙図面のj、m、qの各点を順次直線で結んだ線(同線上のm、q間にはL字溝が設けられている。)とで挾まれた部分が通路として利用され、アスファルト舗装がなされているが、全体として幅員約二・六メートルを保ち、東側奥方向の道路はほぼ直線で、おおむね同じ幅員を有しているが、北本通りから約五〇メートルの地点では右幅員よりやや広くなっている。

右認定に反する原告本人尋問の結果はにわかに措信しがたく、右事実によれば、本件係争部分は、少なくとも原告の先代前川久次郎が一二番二の土地を賃借した当時、同地の南側の一一番一四の土地内にあって両地の境界線沿いに東西に走り、北本通りに通ずる道路として付近住民に利用されてきたが、その形状、幅員は必ずしも明らかでなかったところ、終戦後、一二番一、一一番一四、一一番一二等の周辺土地上に家屋が築造され終った昭和二八年ころには、その通路部分の形状、幅員は、既に、別紙図面のe、f、vの各点を直線で結んだ線を北側の境いとし、同図面のj、k、m、qの各点を直線で結んだ線を南側の境いとする両線で挾まれた範囲でほぼ固定したものと認めることができる。

2  ところで、《証拠省略》によれば、つぎの事実を認めることができる。

(一)  原告は、昭和四五年八月三日、一二番二の土地の所有権を森崎和枝、同かねから譲受けたが、その際、同人らから右土地の実測図の交付を受けたものの、現地で隣接地との境界線の確認を求めず、また、本件係争部分が一二番一及び一一番一四の土地内にあって当時既に現状のとおりの幅員、形状を有していることを知りながら、改めてその権利関係が是正されるべきことを右各土地所有者に通告しなかった。しかし、原告は、昭和四六年前後頃から、本件係争部分のうち道路として利用しうる幅員が以前よりも狭隘になったものと認識し、昭和四八年ころ、東京都北区役所保管の指定建築線台張(甲第六号証)、建築線指定承諾書(甲第七号証)を閲覧したところ、右各書面に幅員一二尺ないし三・六四メートルと図示された建築線が本件通路部分(一)または(二)に相当するものと判断するに至った。

(二)  右指定建築線台帳は、昭和四年五月ころに作成されたもので、同台帳上には、本件通路部分(一)につき、一一番一四の土地内に指定建築線として幅員一二尺の道路が、一二番一の土地内に予定線として右指定建築線を同一幅員で西方に直線的に延長した道路がそれぞれ図示され、更に、右指定建築線は、その東方一帯の土地内に十字型に設定されていて、石井良次郎所有土地の北に隣接する公道に通ずるように記載されていた。また、前記建築線指定承諾書は、昭和一七年三月ころ、一二番一の土地の借地人太田半七の申請に基づき作成されたもので、同承諾書には、一二番一の土地内の本件通路部分(二)につき、前記予定線の東端から西南に「く」の字型に折れ曲った形状で幅員三・六四メートル、長さ七・六〇メートルの部分が指定申請建築線とされ、森崎勇次郎が一二番二及び一一番一四の土地の所有者兼使用権者として、金子辰蔵が一二番一の土地の所有者として、太田半七が一二番一の土地の使用権者として、前川久次郎が一二番二の土地の使用権者として右建築線の指定を承諾する旨の記載がなされていた。

右認定事実及び前記1の認定事実によれば、一一番一四の土地内の本件通路部分(一)については、昭和四年五月当時は、一二番二及び一一番一四の土地並びにその東方一帯の土地の所有者であった金子平吉と、右各土地の更に東方の一団の土地の所有者であった石井良次郎がその北方に接する公道に通じるための通路として開設した道路の一部であるにすぎず、一二番一の土地内の本件通路部分(一)については、右当時、北本通りに通じる通路として利用されていたものの、地主からやがて道路位置指定申請の承諾を得る予定であったにとどまったが、昭和一七年三月ころに至り、本件通路部分(二)は、一二番一の土地を所有していた金子辰蔵の承諾を得て、幅員三・六四メートルを保ち、現状のような一二番一の土地内でゆるやかに「く」の字型に曲がる道路として道路位置の指定を受けたものと認めることができる。

3  原告は、本件通路部分(一)または(二)につき、昭和四年五月ないし昭和一七年三月に関係者間で通行地役権設定契約を締結した旨主張するけれども、前記1、2の事実によれば、一一番一四の土地における本件通路部分(一)に通行地役権が設定されるべき事情はなく、また、一二番一の土地における本件通路部分(一)ないし(二)は、専ら一二番の一土地の所有者ないし借地人とって不利益となり、一二番二及び一一番一四の土地になんらの負担がないにもかかわらず、本件全証拠によっても、本件係争部分に関する土地所有者間で、地役権設定に伴い通常出捐が予定される対価の授受がなされたことを認めることはできず、かつ、右対価を不要とする特段の事情もうかがわれないのであって、これらの事実に鑑みると、本件係争部分については、原告主張の時期に、関係者間で、一般的に通行を情誼上容認する旨の合意したものにすぎないというべきであって、前記甲第六、第七号証は、所轄官庁が道路行政上保管する書面にすぎず、これらをもって通行地役権が設定されたことを証する資料と考えることはできない。

他に原告主張事実を認めるに足りる証拠はないから、地役権の範囲・内容について判断するまでもなく、したがって、その範囲・内容の変更の合意について審究するまでもなく、地役権設定契約に基づく通行地役権による主位的及び予備的請求は理由がない。

三  つぎに、原告は、本件通路部分(一)につき、通行地役権を時効取得した旨を主張するが(主位的請求原因2(二))、右時効取得については、いわゆる継続の要件として、承役地たるべき他人所有の土地の上に通路の開設を要し、その開設は要役地所有者によってなされることを要するものと解すべきところ、一二番一の土地内の本件通路部分(一)を金子平吉ないし森崎義一が通路として開設したことを認めるに足りる証拠はなく、また、一一番一四の土地のうち少なくとも別紙図面のm、qの両点を結ぶ直線の南側の本件通路部分(一)につき、原告主張のとおり金子平吉らが昭和四年五月ころ以降継続して一〇年間ないし二〇年間に亘り通行の用に供したことを認めるに足りる証拠もないから、右各部分の通行地役権を時効取得したことを原因とする主位的請求は理由がないというべきである。

ところで、原告は、予備的請求として、一二番一の土地内の本件通路部分(二)のうち前記南側辺部分につき、通行地役権を時効取得したことを原因(予備的請求原因4(一)ないし(三))に、右地役権の確認等を求めるが、主位的請求に対する前記判示のとおり、右南側辺部分を森崎義一ないし同和枝、同しげが通路として開設したことを認めるに足りる証拠はなく、しかも、右部分につき同人らが原告主張のとおり通行の用に供したことを認めるに足りる証拠もないから、右請求は失当であるといわざるをえない。

四  また、原告は、本件通路部分(一)につき、慣行に基づく通行権が成立した旨主張するが(主位的請求原因2(三))、右権利が通行地役権以外のものを指称するものであれば、かかる権利を肯認する実定法上の根拠を欠くから主張自体失当であり、また、本件全証拠によっても他に通行地役権が成立すべき事情を認めることはできない。したがって、右主位的請求は理由がない。

五  そこで、囲繞地通行権の有無について判断する。

原告は、一二番二及び一一番一四の土地が袋地であるから、本件通路部分(一)につき囲繞地通行権があり(主位的請求原因3(一)、(二))、少なくとも、本件通路部分(二)につき囲繞地通行権がある(予備的請求原因5)旨主張するが、前記二で認定のとおり、一二番二及び一一番一四の土地については、昭和四年五月当時から、金子平吉がその東側隣接地一帯を所有する石井良次郎と共に、北側直近の公道に通じる道路位置の指定を受け、これを通じて公路に接していたものであるから、この事実によると、本件通路部分(一)、(二)につき囲繞地通行権の生ずる余地はないものというべきであるが、仮に、右公道が相当程度の幅員をもって自由安全容易に通行できないか、あるいは、右公道に通ずる道路の通行のみでは一二番二の土地の利用上甚だ不十分なものであるとしても、本件係争部分のうち、現に通行の用に供されている部分の幅員は約二・六メートルあり、本件係争部分に接続する東側奥の道路の幅員とほぼ同じであることは前記二1(八)で認定したとおりであって、右事情と、原告が一二番二の土地を取得した経緯及び本件係争部分の利用状況並びに一二番一の土地の事情等についての前記認定事実に鑑みると、被告らにおいて原告が本件通路部分(一)または(二)の全部を通行することを受忍すべき義務はないというべく、一二番二の土地の用途に従った利用のためには、本件係争部分のうち現に通行の用に供されている前記通路部分をもって足りるものというべきである。したがって、囲繞地通行権に基づく主位的及び予備的請求はいずれも理由がない。

六  以上のとおりであるから、原告の主位的及び予備的請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 山口繁 裁判官 遠藤賢治 裁判官三代川三千代は職務代行を解かれたので署名押印できない。裁判長裁判官 山口繁)

<以下省略>

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